自販機のせせらぎ(Remix)

どこにでもあるような自販機が愛おしい。

 

 仕事の休憩中や散歩中、ついつい自販機で飲み物を買ってしまう。特にも今ぐらいの冬の寒い時期はお世話になることが多い。仕事の日は缶コーヒー、散歩ならカフェオレかほうじ茶選びがち。

 街の至るところに飲み物が沢山入った箱があり、ボタンを押して雑に落とされた飲み物を取り出して飲むという一連の流れがおもしろくて好きなのだ。自分の選択によって命を宿してあげたようで、自販機から生まれてきてくれた飲み物にはどうしても愛着が湧く。コンビニで買うより絶対にうまいと思う。「あたたかい」「つめた〜い」という表記も可愛げがある。「HOT」「COOL」じゃ全然グッとこない。ひらがながいい。

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 きっかけ なのかは分からないが、意識するようになったのは2020春の自粛期間。出かけることもできないので近所でまだ出会ったことがない自販機を探そうと自転車を走らせた。その土地に住んで4年目に入ったというのに、通ったことのない道ばかり。引っ越したての冒険気分でワクワクしたのを覚えている。新しい街に来てすぐの散歩は自販機への挨拶回りも目的としているのだ。見たことないサイズの缶コーラが売ってて、迷った挙句よく見る方を買った覚えがある。あの時期は夜9時には街が静かになっていたので絶好の徘徊環境だった。状況が違うとはいえ、たまにはあれぐらいのリズムで進む日があってもいいよなーと思う。

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↑増量してるのに同じ値段は罠でしょ、昔話?

 商品の入れ替え作業に遭遇した時もついつい目線がいく。自販機を「表・中・裏」で分けるとすれば、作業中は表が開けられ中が露わになっている。まるで服を脱がされてあれこれされているようで、見ていると変にいやらしい気持ちになってしまう。中学の職場体験で、観光施設の仕事を体験したのだが、そこで業者のお兄さんと一緒に施設内の自販機の入れ替え作業をさせてもらったことがある。「この商品はよく出るから多めに補充しておきましょうか」など、身近な物だけど普段は見れない部分に対して作業するのがとても楽しかった。プログラム的にはメインでなかったんだろうけどこれが1番印象に残っている。この時はまだ自分がいやらしい行為をしてるという自覚は無かった。残念ながら。

 

どうせ明日も小銭を握りしめてどこかの自販機を利用するのだろう、どうせ迷ったフリをしていつものやつを買うのだろう、どうせ当たり付きの自販機で「7778」の文字列を確認してからお別れするのだろう、どうせどうせどうせ。

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