玉ねぎの切り方

「うわ、結婚って良いのかも」って思った瞬間がある。

 姉夫婦の家に遊びに行った時、夕飯に肉を食べる事になった。結婚祝いのステーキ肉が余ってたらしく、中々食べきれないので食べ盛りの若者を召喚したという訳だ。準備は姉夫婦がやってくれるとのことで僕はビールを飲みながら待たせてもらった。

 

 調理中、付け合わせの玉ねぎを切る時の会話が妙に引っかかった。

姉「切り方これで良いんだっけ?」

旦那さん「あー、それでいんじゃない」

何気ない普通の会話。だが、この光景を見た瞬間に「夫婦っていいなぁ」と強く思った。玉ねぎの切り方なんて、1人で暮らしていたらスマホで調べたり適当にやったりで自分の中で考えて解決するようなことだ。それは寂しい事ではない。当たり前の事。でも、2人でいたらそんな些細なテーマが"会話"になるのだ。会話が生まれた事にこそ価値がある。その繰り返しで2人の関係性が育まれ、生活を成り立たせていくのだと思う。独り言としてシンクの排水溝に吸い込まれていくより、誰かの耳に届いた方が良いに決まっている。普段自分が家にいる時と言葉の行き先が違かったから、なんだか特別なものに見えたし、少し羨ましかった。

 これだけで「結婚いいな!最高!」ってなる訳じゃないけど、誰かと生きていくのもきっと良いことあるんだろうなーと思った。

 

 最近の玉ねぎは価格が高騰して高級食材に片足を突っ込んでいる。近所の八百屋で気持ち安かったので久しぶりに購入できた。新玉ねぎもね、美味いけどね。やっぱスタンダードオニオンですよ。どうやって食べようかなぁ。切り方の前に、食べ方を迷っている。