あえて言うならそれは

 lyrical schoolで1番好きな曲は?と聞かれたら、オレンジと答える。

夕暮れ曲というのは儚さや、終わりに向かっていく切なさが歌われることが多い。だが、この曲はエンディングでありオープニングの曲だ。

 

ファーストアルバム「WORLD'S END」に収録。作詞:Ryohu 作曲:思い出野郎Aチーム

 

 意外と知られていないが、この曲のリリックはKANDYTOWNのRyohuがリリックを描いている。Ryohuというラッパー印象を色で言うと赤と青だ。クール(青)でありながら愛情と情熱(赤)の詰まったリリックを描く。年齢を重ね、子供も産まれ、最近は赤が強くなってきた気がする。仲間やラッパーとしての生き方を歌う時は激しい赤、家族のことを歌う時は淡く落ち着いた赤。曲によってグラデーションのある赤を楽しむことができる。オレンジでは、このRyohuらしさ+リリスクメンバー5人の個性が合わさることよって唯一無二の雰囲気をまとっている。思い出野郎Aチームによる爽やかなギターと煌びやかなブラスが鳴り響くビートも抜群にマッチしている。

 

情緒的でノスタルジーなリリックで、各メンバーのバースに印象的なフレーズがある。

特に大好きなのrisano-himeパート(私はhime推しです見てるか持田大好きだよ)

 

(risano)

飛んでくシャボン玉のように 遠くへ色はカラフルで

透明 割れたりはしない

当然 いつかまたこの

光景 思い出してみて

どうでも いい事ばかりで

想定外に濃く残る

あえて言うならそれは仲間だろ ah

 

「飛んで」「透明」 「当然」「光景」「 どうでも」「想定外」 と頭韻が気持ち良い。

 透明でいつ消えるかわからない「シャボン玉」から、「仲間」という明確でいつまでも消えることのないもの。言葉から連想する存在の濃度がバースの頭とケツで両極になっているのが印象的。仲間という存在の強さがより強調されている。飛んでいる瞬間はキラキラと輝いて目に見えるのに、気がつけば儚く消えてしまう。シャボン玉はまるで大切な人たちと過ごす楽しい時間のようだ。目の前から消えてしまったとしても、心の中では輝き続ける。むしろ現在より未来の方がより光を強く感じるようになるのだから不思議。作家の朝井リョウが「青春は渦中の人には届かない」と言っていたが、その通りだと思う。

 花火というワードも似たようなニュアンスだが、シャボン玉の透明さと浮遊感がより日常的な思い出を想起させる。学校で言うならば冒頭のhinakoバースに出てくるような「部活の音がしてる放課後の学校」。花火は告白とか行事とかのビッグイベントって感じ。絶妙なワードチョイスだ。

 振り返った時、心に残っているのもの・自分を助けてきたものは何か、それを”あえて”言うならば仲間。 ズバリ言わないところが洒落ている。リリスクの中でも一際まっすぐで、メンバーにもファンも元気を与えてきたrisanoが歌うことで、言葉により一層エネルギーが宿っている。奇しくもrisanoのメンバーカラーはオレンジ色だ。

 

そして、最後のhimeのバース

 

(hime)

もうすぐ夜に変わり

待ちの色や人 入れ替わり

新鮮に見える姿形

明日に向かって進む1人1人 

これから帰る人と

これから外に出る人も

空を見上げて見てよ一度

懐い香りの日曜

 

 基本的に夕方というのは仕事終わり、学校終わりの時間帯で、1日の終わりに向かっていくものとして扱われる。夕方がエンディングのような曲も多い。だが、同時に違う世界が始まる時間帯でもある。17時ぐらいの街は1日がオン→オフ、オフ→オンに切り替わるタイミングであり、街を歩く人が向かう先、次にやろうとしていることはどの時間帯よりもバラバラだ。塾に向かう中学生、飲みに行く社会人、習い事終わりの小学生、帰宅して推しを摂取したい人、夜行バスに乗る人、バイトに行く学生、夜勤の人、親というスイッチをオンにする人。これから帰る人にも、これから外に出る人もいる。楽しみな人もいれば、憂鬱な人もいる。そんな街にBGMが流れるならエンディング曲でかつオープンニング曲でなくてはならない。その曲こそがオレンジだ。

 始まりと終わりが入り混じる街を照らし、西の空を見上げれば誰しも目に焼き付ける事ができるのがオレンジ色の夕日。一方向ではなく、様々な方向の矢印が交差した時間帯であることを表現した素晴らしいリリックなのだ。himeの艶やかな声で歌われるこのバースこそ、オレンジを名曲たらしめている。

 

  本当は全バース書きたかったがここまで。

 

 今週(今週!?)でリリスクは現体制での活動を終える。引っ越したこともあり、学生の頃のように通うことができなくなっていたが、4月の仙台でのライブが楽しかったのでまたライブ行けるようにしたいなあと思っていた矢先の発表だった。リリスクと出会ったことで、たくさんの思い出とたくさんの友達ができた。大学生活を楽しめるようになったのはリリスクのおかげだし、今の自分があるのはリリスクおかげと言っても過言ではない。ありがとう。

 同い年のhimeという推しができたことリリスクに通っていた大きな要因だった。ラップが本当に上手で可愛くてギャルでお茶目で賢くてカッコよくて、凄いなぁって思ってた。推しメンというか、尊敬できる同級生って感覚に近かった。2019年7月の川崎クラブチッタ公演、WORLD'S ENDのラスト「また会える日を願う さよなら 笑ってBABY 世界の終わりに2人でいよう」ってバース。完全に俺とだけ目があった状態で、完全に俺に向かって歌ってくれたことが思い出に残ってる。あの瞬間の世界には俺と持田しかいなかったし、このまま世界終わってもいいと本気で思ったなあ。2019夏は近年最高の夏だった。

 この先何をするか分からないけど、きっとうまくやっていくんだと思う。表舞台じゃなかったとしても、たま〜に様子知れたらいいな。今まで通りに気が向いた時だけSNS更新してね。あなたと出会えて幸せでした。

 

 リリスクのステージを見ている時は今がいつも最高で、永遠にNOWが良いと思わせてくれた。だからこのまま続いてくもんだと勝手に思い込んでいた。でも、今が続く事なんて無いのだ。皮肉にもそれもリリスクに気付かされてしまった。

 もう今更色々言ってもしょうがない。今そこにあるリリカルスクールを応援するだけだ。ツアーファイナルは日比谷野外大音楽堂。楽しいだけじゃないだろうけど、寂しいだけでもないと思う。そこで目にするステージは心に濃く残り、一生忘れられないものとなるだろう。

きっと空はオレンジ色だ。