クリスマスの夜、「LOOPだ!ねぇうちらってループ乗れるのかな?」と彼女が話しかけ、LOOPの案内を覗き込むカップルを見かけた。その瞬間、自分が歳を重ねたことを実感してしまった。LOOPに対しては嫌悪感を抱いてること、ではなく新しいものに対する純粋な好奇心を持てなくなってるんだなと彼らとすれ違った時に感じた。でも家に帰ってそれを彼女に電話で話しながら「まあ別に昔からそんなに好奇心旺盛ではなかったな」と思い直し、あんまり落ち込みはしなかった。変わってないことに落ち込んではいないと、思う。
実家に帰りドキュメント72時間の総集編を見ているといっちょ今年を振り返ってミマスカァという気持ちになる。今年は年明けに転職をして、全く未経験の職を始めた。最初は戸惑いばかりだったけど過去の自分史上1番の適応能力を発揮して1年目っぽくないねと言われるぐらいには頑張った。仕事も好きだし、嫌な人もポンコツもいないし、とても働きやすい。音楽の趣味が合う先輩もいて「Daichi Yamamotoの新譜聴きましたか?」「ヒップホップの心が足りて無いっすねそれは」などと会話したり、一緒にJJJのライブに行ったりした。大学生以降でこんなにもコミュニティに馴染めているのは初めてだった。人に仕事の話を楽しくできるようになったのが大っきい変化。この仕事が好きだと素直に言えるのは幸せなことだ。
「転職したな〜」とルンルンする傍ら、自分が趣味と言っていたものに割ける時間やエネルギーは減退していった。短歌をかくことを会社を始め色んな人に言うようにもしてるのに、休日つくる気力も湧かず携帯のメモも減っていった。「携帯のメモも作品だよ、宝物みたいに大事にしてね」と昔ブログのコメントでもらったことがある。その言葉を宝物みたいに大事してたけど、宝箱を開ける頻度は下がって転がって輝きを失い気味になっていた。光の軍と書いて輝とは頼もしい字だ。
本をつくる!と宣言して、8割ぐらい中身はできていたんだけど、そこから筆が進まなくなった。「書いてどうするんだっけ、誰かに見て欲しいんだっけ、何か伝えたいんだっけ」という考えが浮かび、かつ仕事で時間を割けなくなっていったという言い訳を持って季節は巡った。ネットプリントを出したのは1回だけだったけど、無理に連作を作らず短歌用のアカウントで小出しに放出することはできた。書きたい時に書いたらいいし、読みたい時に読んだら良い。それでいいやと思って次の季節を巡りたい。
光陰矢の如しの実写版みたいな生活だった。1年でみたら大したことないんだけど、1週間が毎週早くて目がぐるぐるうずまきになってた。でももうあんまりその早さについていこうとはせず、うさぎとカメのカメよろしくのろのろのろのろのろのろのろのろのろのろのろのろ進みたい。ミヒャエルエンデのモモに出てくるカメのカシオペイアみたい、甲羅に光る文字を映して会話できたらいいなぁ。
あった方がいいけどなくてもいいもの、なくてもいいけどあった方がいいもの。ビビリで心配性だけど、来年は知らない土地に行ったり知らない人と話したりすることを頑張ってみたいなと思う。どこかに旅行すること、誰かと会うこと、1つ1つをビッグイベントと捉えすぎてハードルを上げていたことに今年気づいたから、もっと気軽にできるようになりたい。狭い世界を大事にしてるようで、世界が広がることを怖がってるだけなのだ。色んなことしてみよう。後押しや同行大歓迎だよ。移動するならLOOPとカメではどっちが速いだろう?