4月のご短歌「宇宙から目薬」
・何も手に無いのに失くす離れてく 啄木誘い泥だんごづくり
・自販機のあたたか~いが消えた春 ぶち撒けコーヒー破壊せよビル
・たまねぎの皮をむき続ける様に 探せどいない俺もお前も
・会いに来て眠れる夜と手をつなぎ 夢占いだけ信じていたい
・泡だらけのお茶つくるため走らされ ひとりでかけっこすり減るソール
・「人生」と すぐ言うくせに人生を知りたがらないままの人生
・ここはどこ星を眺めて真無色のミサイル・募金・ホームレスの死
・泣きそうになったらお願い宇宙から目薬落とし涙燃やして
水で粘る
「高校生の時は目の前の事に取り組んで、楽しんで、悩んでを繰り返してれば良かったのに、今はまだ存在していない将来のことばかりにとらわれてめんどくせえよな」
高校の友達とお茶しながらそんな会話をした。
言っても仕方がないのだが、20代の期間はその重要さの割に短すぎると思う。4年制の大学に行ってたとして、卒業する時には22歳。社会人1年目の23歳なんてあって無いようなものだからノーカン。20〜23はみなし20代。いよいよ24歳でガチ20代だ!となるが、25になるとなぜか急に四捨五入して30代以降のことを考えなきゃなくなる。マジ遺憾の意ンポッシブル。
将来の仕事とか、結婚とか、貯金がどうとか、地元に帰るのかとか、実家どうすんのとか、とかとか。学生じゃなくなると急にそんな話ばかりになる。絶対に通る道だし、悩んで当然のことだ。考えてないわけじゃないけど、みんな偉いと思う。
だからこそ、自分からその手の話題はあまり振らないようにしている。社会がどうなっていようが、何歳であろうが、僕は目の前にいる人の中身を知りたい。脳内の路地にお邪魔したい。話して何か生産性があるような会話をしたくない。何も生まれない会話を生み出したい。どうせ、"考えるべき"事に関しては他の人とも話すんだからたまには楽にしてほしいというか。せめて自分と会話してる時ぐらい「なんでこんな話してんだろう?」「しょうもない会話してるなぁ」と思ってもらいたい。もちろん、話を聞いて欲しそうなら聞くし、相談に乗って欲しそうなら乗るし。ただ、自分が生きてる上での役割の1つはそんな悩みを一旦置き去りできる関係無い話題をしてあげる事なのかなと最近感じている。現実逃避と言われれば、まぁそうなのだが。逃避したいようなしんどいことばかりが現実ではないはず。くだらない現実こそ面白がって、愛していたい。たまには宿題サボって一緒に遊んでほしい。
色々考えて思い詰めやすい性格だと分かっているからこそ、人にはお気楽でいたいのだ。
ところで魚のアジの語源を知ってるだろうか。「味がうまいから」らしい。ほとんどの食べ物はアジと呼ばれる可能性があったという事だ。じゃあ、エイは「エイ!」って捕まえたからエイって名付けられたのかなぁ。
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どうも。最近雪食ってますか。僕は食べてません。
帰省して会ってくれる友達がいると、その人の人生のある期間の登場人物になれていたんだなと嬉しくなる。去年は全然会えなかったし、社会人になって初めてのお正月というのもあってそれを尚更感じた。高校の同じクラスだった友達と飲んで、2次会で他の店にいたグループも合体してちょっとしたクラス会みたいになった。形式ばった飲み会は苦手だけど、好きな人たちが沢山いる場なら別にいいやと思う。夜を使い果たしたと言っても良いでしょう。
ありがたいことに、高校2.3年のクラスがとても仲良しで、久々だったとしても先週学校で会っていたんじゃないかというくらいのテンションで話せる。大学生の時も折に触れて一緒に遊んでた。ヒップホップのイベントに行く為に、高崎のクラブの重い扉を一緒に開けたのも高校の友達だった。自分もあまり詳しくないけど初めてリリスクのフリライベントに行く時も無理矢理付き添わせた。多分グループ名すら覚えていないだろう。彼が教室でダンジョンの話をしているのを少し離れたところから盗み聞きし、家に帰って検索したのがヒップホップにハマったきっかけの1つだった。フリースタイルだとSAM推しらしく、現地で見た戦極20章でSAMが優勝した時は珍しく興奮気味のLINEが来たのを覚えている。この1年は色々あってフリーターしてたけど春から公務員になるそうだ。人生に近道とか遠回りとか無いんだなと実感する。あーは。
部活は人数の多い弓道部に所属していて、色んな意味でハードな顧問に翻弄されたりしながら毎日心を削られた。あと生徒会長をやってたこともあって人とはちょっと違った経験をできていたなと改めて思う。
でも大学に入ってからはサークルを早々に辞め、友達が全然いなくて、1人で授業受けて1人め次の教室いって菓子パンをむさぼりながらラジオを聴いているような生活が結構続いていた。趣味のおかげもあり少ないながらも友達がはそのうちできたのだけど、これといって何か頑張ったりしなかったので就活の時期は高校の話をするのが逆に嫌だった。高校は高校、大学は大学。どっちも性質が異なるから比べたくないんだけど、自分の中でも昔の方に引っ張られて「その頃(高校)の自分」が本当なんじゃないか、今その自分が薄れているのは悪いことなんじゃないかと悩んだ。そりゃ集団の中で色々やってた方が話しやすいし評価もしやすい。でも苦手だし……。今の自分も、過去の自分も同じなのに、分離して捉えて伝えようとするのが苦しかった。変わってないつもりなのに、マイナスみたいにされるのが嫌だった。
って大学の時の悩みは最近もうどうでも良くなりました。当時の性格や記憶は無くなった訳じゃなくて、ラップに包んで冷凍庫に閉まっておく。欲しくなったらレンジでチンして出せばいい。賞味期限切れてても火通せば大丈夫だろうし。線引きなんてしなくていいよね。
何の話だっけ。人の事書きたかったのに結局内面に矢印向けちゃった。とにかく帰省楽しかったってことです。集まりとか行かないでアイドルオタクしてるような友達とファミレスでだらだらしたのも良かったな。
2022年は会いたい人に会いに行くのを心がけたいと思います。できるだけ。これまでの、そしてこれからの登場人物の皆さんどうぞよろしくお願いします。
寒波ネルラ
天気予報に雪マークが見えた。そこはかとない焦りを感じてしまい、寒いけど少しだけ散歩しようと外に出た。どうせ降ったら降ったでするのだが。アパートを出てすぐ、手ぶらの男性が少し前を歩いていた。彼も雪マークに急かされたのだろうか。勝手に同志と思う。すると、まだ音楽の流れていないイヤホン越しに何かが聴こえてくる。スンスン。グスグス。前を歩く男性が泣いていた。鼻水を啜っているのではない、電柱で立ち止まり、確かに腕で涙を拭っていた。12月の寒い空気の中さ、こんな夜道で1人で泣かないでよ。1か月前の僕じゃないんだから。
不安になるのは夜だし、不安を和らげてくれるのも夜。明けてほしいような、明けてほしくないような。
何があったか知らなくていいけど、とにかく帰ったらあったかいものでも飲んでゆっくり寝てくれと、背後から男性に念じてそそくさと追い越した。直後の角を曲がり、後ろを振り返ると男性は消えていた。
いや、あれは、1か月前の僕だったんじゃ。それを追い越したということは。
いいや、あったかいものを飲んで寝よう。これを習慣づけるようになったのは1か月ぐらい前からだったような。
蝶のように待って、蝶のように去る
蜂がいるとびっくりする。
洗濯物を干す為にベランダに出ようとすると、蜂がベランダで横たわっている。かなりの強面。
生きているか死んでるか分からないので迂闊に刺激することもできない。とりあえず5分間見守って逃げるのを待ったが、蜂は微動だにしない。困った困った困った困った。蜂は怖いから。動くかどうかだけでも確認しよう。
まずはピザ屋のチラシを丸めてドアの隙間から蜂に向かって投げてみる。遠隔攻撃。俺が米軍であいつがビンラディン。国防。国防柚乃。直撃はしなかったものの、蜂はやや動揺して羽根をブンブン鳴らした。もう一発だ!と意気込み、今度は県知事選のチラシを丸める。村井氏、長氏、君達を特攻隊に任命する。これは大変名誉なことだ。あの蜂に突っ込み、全てを破壊するのだ。いけーーー!!!!!
うおおおおお!!!!!
直撃だああああああああああ!!!!!
狼狽える蜂!つまり蜂狽。確実に効いてはいる。このまま飛び立ってくれれば....
と考えたが世の中そんなに甘くない。
少し体勢を変えた蜂は何事もなかったかのように「そんなもんか?舐められたもんだな」と、こちらを挑発してくる目つきで睨んでくる。気がする。くそう、村井・長、君達のことは一生忘れない。県知事なんてならなくても歴史に名は刻まれたよ。洗濯カゴの中から痺れを切らせた靴下が飛び出してくる。奴らを戦地に行かせるわけにはいかない、早くケリをつけなくては。
僕はゴキジェットを手に取った。旧ソ連が開発した人類最終兵器。もう後には引けない。北斗の拳のような世界になったとしても僕はこれで蜂を殺さなければならないのだ。
勇気を持って網戸越しに勢いよく噴射した光線は蜂を包み込む。ベランダをのたうち回る蜂、それでも僕は間髪入れずにどんどんジェットしていく。蜂は羽根で激しい低音を響かせながらベランダサンダルによじ登り、隠れる場所を探そうとしている。
くくく(←「く」はポテチ2枚を口に挟んでる人っぽく見える)、無駄なあがきを。人間を舐めるなよ、私は指一本触れずにお前をやっつける!キェーーーイ!
そして蜂はサンダルの上でしばらく暴れた後、利き手じゃない方の手で書いた線のようにふらふらと飛び立っていった。まるで蝶だった。
終戦。
戦いの痕跡が残るベランダに洗濯物を干す。あー、無駄な犠牲者を出すぐらいなら最初からゴキジェット使えば良かった。軍備増強(補充)せねば。
みなさん蜂には気をつけましょう、蜂は怖いから。
あと選挙には行きましょう、行った後の食事はピザなんてどうでしょうか。是非チラシをご覧ください、丸める前に。
ぢつと手を見る
石川啄木「はたらけど はたらけど猶 我が生活 楽にならざり ぢつと手を見る」
この手の中には何があるだろうか?
小さい頃にギターをプレゼントされ、周りから羨ましがられるほど恵まれた環境があったにも関わらず、何の楽器も身につけることができなかった。訳あってうちはギターを中心に楽器や機材が沢山ありまして、知らぬ間に謎の打楽器が増えていたりします。にも関わらず、ギターもドラムもかじった程度。誰も反対しないし、やるもんだと思われていた、思っていた。親が居ぬ間にこっそり触り、外から車が帰ってくる音がしたら急いで片付ける。やりたいはずなのに。なぜか?おそらく。本心を打ち明けるのが恥ずかしくて、怖かったのだ。親に?自分に?
優しい家庭だけど、性格似てるから「一緒にやるか?」とか声かけてくれるタイプでもなかったんだよな。きっと声かけられても「いやあ...」って受け流しただろうし笑。小学生の時にサッカーボールを誕生日にプレゼントされて、「サッカー習ってみる?」って言われた時も「いや、いい」って言っちゃったし。内気ぃ〜〜〜⤴︎
こうした積年のモヤモヤを高3の時泣きながら父に話したことがある。このまま家を出たら話すタイミングをなくすと思ったから。一人暮らし先に持っていくギターを一緒に決めながら、将来父とセッションできたら楽しいだろうなとワクワクした。「うまくなったらled zeppelinのHeartbreakerのソロを弾きたい!」と宣言したのを覚えている。だがしかし、結局大学に入ってからも本気で練習することはなく、いつの間にか部屋の隅で埃被ったギターケースが寂しそうに俯いていた。今、この部屋にはピックもスティックも無い。
大学生になり、ヒップホップが好きになった。フリースタイルから入ったけど、日本語ラップ音源も色々聴いてきた。マイク一本で、自分や仲間が作ったビートに自分の言葉を乗せる。人生を歌詞にする。なんて楽しそうなんだろう。なんてかっこいいんだろう。やってみたい。部屋の中で口ずさみ、一人カラオケで滑舌の悪さと自分の声に絶望し、部屋の中で口ずさみ、寝る。
iPhoneのメモ欄にはリリックになりそうなフレーズが溜まっていった。言葉遊びは昔から得意なので我ながらいい感じのフレーズは多いと思う。でも一曲の歌詞としてちゃんとまとめたのはいくつあっただろうか。ビートに乗せて曲にしたことはいくつあっただろうか。たまーに気分になれば少しだけやってみて、またしばらく放置。その間もフレーズは溜まっていく。曲を聞いて背中を押される。それでも心の体幹はブレない。ブレてくれない。そのまま大学を卒業し、今、メモ欄のフレーズたちは埃を被って寂しそうに俯いている。
音楽が好きだ、お笑いが好きだ、本が好きだ、サッカーが好きだ。
それなりに好きなものは集めてきた。
やりたいと思うものもあった。
でも、今の自分には何があるだろう。
何ができるだろう。
何かになりたいと思っていた
なれると思っていた。
何かになろうとするのを怠ってきた。
何かになるのを怖がっていた。
「センスあるね」なんて言われても、そのセンスが何なのか確かめてこなかった自分に嫌気が差す。センスにまだどこかですがっている自分にも嫌気が差す。
何も無いのだ、この手の中には。
別にこれから夢を追いかけるぜ!とか、スターになるぜ!とか言いたいんじゃないですよ。ただ自分の存在を証明するような、自分の存在を残すための手段となるようなものが欲しい。「何かしてるの?」と聞かれて答えられるものが欲しい。本当はもう出会ってるはずなんだろう。それを信じて進めれば苦労しないのだが。でも10年ぐらいこの気持ちのまま育ってきた訳だから……って10年後は言いたくないな……。
それでもここ何ヶ月か短歌を書いている。Twitterやインスタに載せる程度だけど。ほんの少しでもリアクションがあると嬉しい。「この人は読んでくれてるかもな」が安心感につながる。これなら続けていけるんじゃね?という感触があるのでマイペースにつくっていきたいっすね。年寄りになってもできそうな趣味があると、老後に若い頃との変化を楽しめそうだし。仕事で体と心を削られても自分の感性だけは守りたい、もうそれしか無いから。 死守、死守BOYS、SHISHUBOYS、シシュボ。
過去の自分に会ったときにため息つかせるような人間にはなりたくないですね。少しでも希望を持たせたい。「なんとかなるからなんとかしようとしろ!」と言いたい。いや、やっぱ誰か言ってください。きっと未来の自分も言ってくれないだろうから笑