ビリーズ・ブート・公共料金

 いつまでも経っても公共料金の支払いができない系の俺たちな訳だけどさ、発明したんですよ僕は。支払う気になる方法を。

 

その名も「ビリーズ・ブート・公共料金」

 

払込票を手に取った時、期日を見て「まぁいっか」となりがちだ。そんな時、脳内でビリーズブートキャンプのような音声を再生するのだ。

 

「さぁ公共料金の支払いをやっていくよ!みんな、準備はいいか?払込票を持って!カモン!1.2.1.2.3.GO!!!!!!(軽快なビート)」

この勢いでコンビニ行き、支払いを済ませる。僕はこれを実践して今日一気に電気代とガス代の支払いを完了させた。快挙!yesどんぐりRPGです。ちなみに、同じコンビニで同時に支払うのは恥ずかしいのでファミマとローソンを梯子した。

 

 何か行動する時にBGMを脳内に流す作戦は案外有効だ。小学生の頃はマラソンする時にトレイントレインを流して前の人を追い越していた。ポンポン使うと効果が薄れてしまうのでここぞ!という時だけ。短距離の方が得意だった僕が長距離でもそこそこやれてたのはこのおかげと言っても、過言では無い。

 

 あと高校生の時、駅から学校まで自転車で移動してたんだけど、途中坂があったせいで中々前のいる自転車を越せなかった。別に競走してる訳では無いのだが、1時間に1.2本の同じ電車に乗って同じ道で通学する同じ学校の生徒だ。「あいつちょっと速くね?」と思われたい日もある。そんな時に脳内で再ていたのはマリオカートでスターを取った時のBGMだ。テンテンテテンテンテテンテンテンってやつ。これを流すと本当にスターを取ったかのように自転車をごぼう抜きできた。もう日大のダニエル、山梨学院のモグス、オールスターのワイナイナ気分よ。今でもまだ使えるかなぁこの作戦。他の人よりちょっとだけ早く学校に着いて人の少ない教室入るのは気持ち良かった。結局終わってない課題に追われるのだが…。

 

 

 水曜日のダウンタウンはおぼんこぼんドキュメンタリー。小さい頃、おばあちゃんと車の中でよくしりとりをしてたんだけど、「お」がつくとおばあちゃんは大体おぼんこぼんと返してきてた。「ん着いてるからダメー」とツッコむところまでがセット。師匠、もしオンエア見ておばあちゃんが悲しんでたら嫌なので仲直りしてくれると嬉しいです。

 

 

おいおい、何をゴタゴタ言ってるんだ?さぁ、次はビリーズ・ブート・口座振替の時間だ!

 

 

これは後でいいか。

E.T.みたいな夜

中秋の名月ということで仕事の休憩中にすすきを取りに行った。

 

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 確か近所に生えてたよなーという記憶を頼りに歩いていると、すすきの束を抱えるおじさんとすれ違ったのでビンゴ。小さい頃からこの時期は爺ちゃんなり家族の誰かとすすきを取りに行ってたので能力として身についてるのかもしれない。年一しか発動しないが年を取っても衰えることがなさそうなので安心。しゃあ、おらぁ、ハイスペック男子じゃあ。

 


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ぎゅうぎゅうの彼岸花って圧あるな…

 

 

 そんな満月の夜、ニューヨークジャックのゲストがエビ中だった。出演経緯のこともあって正直不安の方がで大きかったんだけど、蓋を開けてみればめちゃくちゃ相性良いじゃんか!初絡みだったのが逆に良かったのかもしれない。あとそもそもエビ中があんまりニューヨークの事をめっちゃ好きです!って感じじゃなかったのも笑。時間が経つにつれ段々打ち解けていく様子が見て取れてなんだか微笑ましかった。

 

 ニューヨークは自分達が知らないことに対して「知らないから教えて欲しい!」のスタンスをハッキリ取る。だから自然と話が進み、相手の中身が掘り下げられ、他の人では辿り着かない場所に辿り着く。それはyoutubeで何度も見てきた。

 

 女性アイドルはプレディとイコラブしか知らないニューヨークが「昨日のスケジュール何?」「ライブって泊まりなん?」「学校で話しかけられたりせんの?」などアイドルに聞くレベル1の質問を矢継ぎ早にエビ中にぶつけていくのが新鮮で面白かった。確かにあんまり聞いたことの話だよな。最初のレベルを知ったかぶった「アイドルってどうせこうなんやろ〜」という姿勢が全く無いので、視聴者としても見ていて気持ちいい。自己紹介考える企画もグダらずみんなノリノリ面白かった。ぽーちゃんの自己紹介最高なので是非実践して欲しい。良い意味で予想を裏切られた。また共演して欲しいなー。おかずクラブと一瞬ラジオやってたし、15期と相性良い説ある。次は鬼越のyoutubeか、デニスの怖いyoutubeか、しゃれこめカナメストーンか....。

 

 業界は違えどほぼ芸能界の同期として10年間色々なことを経験して、売れそうで売れない時期もあって、でも最近ようやくタイミングが回ってきてステージを上げた感のある2組。両方のファンとしてはとにかくこれからも健康で楽しく仕事をして、高い買い物をして欲しいと願うばかりだ。

 

 

 

屋敷の高級時計のくだり、先に知ってても大爆笑しちゃった。今週のラヴィットでもやりそう。

 

 

 

あと先週行われたニューヨークの単独ライブ、最高なので是非見て欲しい。毒や悪意があると言われる彼らのネタだが、正直そんなにあるか?と思う。まっとうな見方をして、まっとうに疑問を感じて、まっとうにバカにしている。多分我々もそうしているから共感できる。毎日めんどくさいことだらけでも、時代の中で感じる違和感をニューヨークがネタにしてくれるし、それで笑うことができるから明日からも生活頑張ってみるかという気持ちなる。吸収しているのは毒ではなく、養分だ。だって元気もらってんだもん。

ニューヨーク単独ライブ「Natural」(9/17 18:30)online-ticket.yoshimoto.co.jp

ごきげんよう、よふかしいも

 外出したけど何にもやることなくて"曲がったことない角で曲がる縛り"で自転車を走らせてみた。霜降りの漫才で「頭の中に走馬灯が駆け巡る………この道に出るんやぁ」「しょうもない人生!」というやりとりがあるが、こちとらしょうもない人生上等なので粗のツッコミは痛くも痒くもない。痛くも痒くもない。痛くも痒くも無い。痛くも痒くも痛くも痒く痛くも痛い痒い痛い痒い痛い白鵬痛い痒い痛い痒い

 

結局大した発見もなく、ベランダに白い布団が大量に干してある家を見つけただけで終わった。

 

 

 気になってた老舗喫茶店に行ってみた。メニュー見たらちょっとお高めで緊張したけど、金髪の若い店員さんがいたり、店内が広い事もあってとても居心地が良かった。うわー、こんな喫茶店でバイトしてみたかったな。学生時代バイトしてたカフェじゃこんな雰囲気味わえなかった……。

 アイスコーヒーを飲み終えると、グラスに模様があった事に気づく。

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あ、青い…!なんて素敵なグラス…!アイスコーヒーで模様のあるグラス使ってるのは珍しい気がする。飲み終えた後でも、氷の残ったグラスを眺めるだけでもしばらく過ごせそう。そんな客いいのか。きっとホットのカップとかソーサーも洒落てんだろうな……

 常連さんが出る時は店員さんが出口まで見送ってくれるようで、店長?のおじさんが見送る時に

「ではごきげんよう、さようなら」

と声かけてた。

 

ズキューーーン!完全にノックアウト。あたしこの喫茶店に抱かれてもいいわ。小堺一機エビ中以外から初めて聞いたよごきげんようなんて。品of品。敷居が高すぎない空間であるが故にその品や丁寧さが際立つ。こんな若造には常連になれる程の品格も財力も無いけど、その声がけを聞くだけでも価値ある気がする。大人な気分味わいたい時にまた来ます。

 

 

 

 夕方、よく行く近所のパン屋のおじさんと話す。

「やっぱり春と秋の天気が続いてたらいいのねえ」

「ほんとですね!」

「若い人もそうなんだ!夏(なづ)あづすぎるもんねえ」

「ほんとそうですね!!!!!!!!!!!!!!」

 

 世代関係なく、やはり春と秋は好まれる存在なのだ。着る服を選びながら「ロンTで丁度いい な、いやTシャツでもいけるか?」と悩む時間、なんて贅沢なんだろうと思う。想定より暑くても涼しくても「まあいっか!」で済ませられるからどっち選んだってマイナスなことが無い。街を歩いてても、春と秋は長袖と半袖が混在している。その光景を見るとみんなの家での迷いが感じとられて可愛い〜〜〜ってなる。残念ながら、ずっと続けばいいと思う時間ほど短く感じる。1時間のラジオなんか特にそう。毎週もう少し聴きたいと感じる。だからこそ次が楽しみになる。それぐらいが丁度いい。

 

いや、春と秋はずっと続いてて良い。

 

 

そういえば昨日の夜散歩してたら道の真ん中でさつまいもが寝っ転がっていた。

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畑からか、はたまたスーパーからやってきたのか。芋も鈴虫の声を聴いて秋を感じたいのだろう。自分が秋であることを知らずに。鈴虫の声をたっぷり聞いて育った芋。うーん、あまり美味しくなさそう。

 

 

 

 

それではごきげんよう、さようなら。

 

 

洗濯機で溺れるわかめの走馬灯

 今朝洗濯物干そうとしてたら靴下にわかめがついてた。まさか洗濯機で戻されるとはわかめも思ってなかっただろう。大丈夫、家主も同じだよ。

 

「海見たいとか本当に言わないで ほら、洗濯機から波の音」

 

春ぐらいにつくった短歌。「海見たい」と思った自分の気持ちへの照れと、部屋にいる時間が多くなったおかげで身近な家電にも違う価値を見出せるんだって気づいた時に思い付いた。

 洗濯槽の中でかきまぜられる水は、まるで波打ち際のような音がする。目を閉じてしまえばそこは自分だけにしか波の音が聞こえない海のようなものだ。ガタガタ音に耳がいきがちだが実際はあのちゃぷちゃぷ音がメインだと思う。ドラム式洗濯機にしたらどうするんだろう、ずっと見てられるだろうな。

 

 

 音楽やラジオを聴く為にイヤホンをかなりの時間使用しているが、外してみると違う音を楽しむことができる。特に声。すれ違う人が喋る僅か1秒、1行の言葉だけでも想像力を掻き立てられる。

 

こないだ横断歩道を渡りながらすれちがった四歳ぐらいの女の子は

「じゃあ今度から怒りん坊さんって呼ばないとだねー」

と言っていた。あの子の周りで明日から怒りん坊さんと呼ばれる人がいる。どんだけ怒ったんだろう。もう翌日には怒りがおさまっていたとしても、女の子が怒りん坊さんと呼べば怒りん坊さんなのだ。おこりんぼうさん。案外可愛い。今度から何かにイライラしてる人を見たらおこりんぼうさんって呼んであげよう。でも怒られないか心配だ。

 

 自転車に乗った男女二人組とすれ違った時の会話も覚えてる。

地味目なメガネの男の子が「その後また実習あってー」と、下り坂にも関わらず色々話しかけているのに対し、隣の女の子は「ふーん」と適当な相槌。きっとバイト帰りの大学生だろう、特別仲が良いわけでもないがたまたま帰る方向同じでシフト被った時は一緒に帰るから何か話さなくちゃいけない。でも共通の話題を探るのは遠慮してしまい、お互いの大学のこととか当たり障りのいない会話で場をつなぐ。くぅ〜〜〜〜。あったあった、バイト終わりの駐輪場までの短いどうでもいい会話。何の授業の課題が大変だとか、土日入ってるかだとか。実習がある理系とか看護系のやつはいつも実習というワードを口にしていた。何をしてるかは何回聞いてもよく分からなかった。もっと話しとくんだったなあバイト先の人。帰る方向が違くて自転車乗ってからは1人のことが多かったけど、途中まで方向同じだった後輩ちゃんとはたまーに一緒に帰った。結局トイストーリーでどれが1番泣けるかコンビニの端っこで議論したのはつい1年程前だ。

 

 

あとさっきスーパー行った時にはオールドスタイルのギャルが

「この世の食べ物ん中で1番好き、もやし」

と言っていた。なんて美しいギャル倒置法。あーしももやし好き。

 

 

気分がいいならイヤホンは無し。

 

 

作品やコンテンツ以外にも見るべきもの、聞くべきもの、感じるべきものがある。

それを少しでも多く見つけられたらもっと現実を好きになれると思う。

 

 

 

ってさっきすれ違った猫が言ってたニャー。

ナッツリターン

 自転車で図書館に本を返しに行ったら緊急事態宣言のせいでお休み。入り口で愕然とする。まだ期限あるし読み終えてないしまあいいか。

 

 さっきまで止んでたのに雨が降ってきた、急いで近くのベローチェに避難。都会はカフェが沢山あって助かる。雨宿りでカフェ入るってちょっと憧れてたんだよね(憧れていたと自分を錯覚させています)。幸い本もあるし!

 

 ベローチェ普段行かないから適当に頼んだけど、思ったよりアイスコーヒーが小さい。一緒にパウンドケーキも頼んだ。ガリッ。なんだ、ナッツ入ってるな。でも普段食べない味だ。なんだろうと思って裏の表記見るとくるみだった。ナッツ大好き星で生まれたナッツ大好き王子だけど、くるみだけはNG。小さい時に食べたら唇が痒くなってまぁ大変だったので、それ以来ほとんどちゃんと口にしていない。まんじゅうにくるみがはいっていたら捨てる。ミックスナッツでくるみが入っていたら捨てる。なのに食べてしまった。しかも結構入ってる。フォークで取り除こうにも本体はパウンドケーキだ。どんどんボロボロになっていき非常に見た目が悪い。以前別なカフェでガトーショコラ食べてる時に全然上手く食べれなくて23年生きてきたのにまだガトーショコラもうまく食べれないのかと落ち込んだ事がある。本当は南極で溶ける氷のようにある程度の塊でガッとすくいたいのだが、どこからどうフォークをいれてもボロボロになってしまう。ケーキの食べ方って、どこかで教わるっけ?

 

そんな奴がパウンドケーキからくるみを取り除きながら食べるなど言語道断だ。身の程を弁えろ。

 

あーーー洗濯物外に干してきたな!?アホか!?!

 

ところでなんだこのベローチェは。隣のエリアがおばさまだらけ、800人はいる。全体的にも客の年齢層が高く、若者は数える程。日本かよ。

 

あっ、またくるみかじっちゃった。

 

背後のレジから「カフェオレ1リットル!」とオーダーする男性の声が聞こえる。そんなメニューあったのか。まぁでも、1リットルなら、いけるか…?「俺は2リットルいけるけどね」とマスクの中で誰にも向けないドヤ顔をする。マスクのある世界に生きてて良かった。

 

窓の外を見るともうみんな傘さしてない。

 

ボロボロのナッツを乗せたトレイを返却し、来た道の通りに帰宅しようと思います。

恐竜の背中に垂れるバニラアイス

 せっかくの夏休みだというのに毎日どんよりした天気で天道(敬称略)にキレそうになる。暑いのは嫌いだけど寒くするのは違うだろ、季節感を大事にしろよ。今年初めて買ってみた日傘や、雲を観察するために買った空の本、箱アイスはどうすればいいのか。いやアイスは食うけど、「今日は2本食べちゃお〜」を毎日やってるから気がつけば空になっている。上見れば曇り空、冷凍庫覗いても空。

 

 最近読んだ中でおもしろかった本は「恐竜・古生物ビフォーアフター」です。昔からイメージされている恐竜と、最新の研究で分かった恐竜の姿がどう違うかをイラストと共に説明してくれてるんだけど、ワイプで抜かれてるのかと思うくらい良い表情で声出しながら読んだ。

 

 ステゴサウルスの背中の板の配置はどうだったのか、ティラノサウルスもふもふ説は本当なのか、オヴィラプトルの卵泥棒は冤罪だったのか、などなど。ステゴの背の骨盤が体温調節に使われてたのとか初めて知った。骨盤に日光当てて血管温めたり、風当てて冷やしたり。賢いねぇ。あとは特にミクロラプトルって恐竜が翼を4つ持ってたってやつびっくりした!脚に2枚、そして腕に2枚。しかも何の意味があったかまだ謎。謎なんかい!普通にオシャレではあるよな。飛ぶのには不便そうだけど。オシャレっていつの時代もそういうことになってるんだな。あと「イー」って恐竜の場合は同じく4枚羽があるんだけど、前2枚が羽じゃなくて皮膚でできてるらしい!!!モモンガみたいになってるってことよ?ヤバくない?だとすると跳び方もパターンがあったわけで...なんて楽しそうなの...

 

 

 頭良い研究者達が地質とか化石調べて昔の生き物についてあれやこれや言ってるの想像すると可愛い。宇宙と恐竜の研究者にはやっぱロマンを感じる。ただ勝手なこと言われまくってるのに反論できない恐竜サイドも可哀想ではある。

 

「いや何言うてんすか!もふもふな訳ないでしょ!噛み付いたろかほんまに!」

 

これはヒナダンザウルスですね〜。

 

恐竜の亡霊ってもういないのかな、いたらサイズデカくてすぐバレそうなもんだけど。流石に埋もれたか。んー、じゃあ恐山に行ってイタコに恐竜の霊を下ろしてもらおうかな。会話が成り立つか分からないけど、ボディランゲージでなんとかすればいいだろう。とりあえずタモリさんのイグアナモノマネをコピーしよう。

 

 

本は場所も天気も大人も子供も選ばなくて素晴らしい。

 

 

穂村弘が「整形前夜」でこんなことを言ってました。

 

本物だけのリアルな醍醐味って、この汚くて変な現実のどこにどんな形で存在するんだろう。どうすればそれに触れて、味わうことができるのか。私にはわからない。わからないまま、映画を観たり、芝居を見たり、ライブに行ったり、美術館に行ったり、本を読んだり、インターネットをやったりしている。それらが人生の楽しみだと思っていたけど、でも、もしかすると自分は、本当の現実に入れないまま、その外側をくるくる回っているだけなのかもしれない。」

 

 

 

 

ガーン。

 

 

 

 

このまま化石になったらどうしよう、今の自分はあまりにも空だ。

前戯なく始まる夏と銀河鉄道

 既にセミの死体を2体目撃している、まだ7月ですよ。

 

こないだ「セミ」という絵本を読んだせいで例年以上にセミへの思い入れが強くなっている。Aマッソの加納がyoutubeで紹介してて軽い気持ちで借りてきたんだけど、絵本であんなに落ち込むとは思わなかった。子供の頃に読んでたら確実にトラウマになっていただろう。ホラーなわけじゃないんだけど、リアルな人間の孤独のセミの孤独が重なって段々気持ち悪くなっていく。終盤になるともう先を知るのが怖くて次のページをめくる手が止まってしまった。少ない言葉と絵だけで表現するからこそ、絵本はこちらの想像力次第でどこまでも奥行きが生まれる。小さい頃には感じ取れなかったものがそれなりに大きくなってから分かることだってあると思う。本は子供も大人も選ばない。トゥクトゥクトゥク。

 

 あと出身県を代表する作家でありながら実はちゃんと読んだことなかったと思って宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」も改めて読んでみた。中学の時劇で見た事はあったけど何の話なんだかさっぱり分かってなかった。サザンクロス?カンパネルラ?ポイズンガールバンド?単語は何となく覚えてたんだけどね。ついさっき読み終わったんだけど、想像してた話と全然違くてとても面白かった。

 名前のせいで銀河鉄道333的な、宇宙の旅かと思ってけどこの話の銀河ってのはジョバンニが入り込んだ光の世界であったんだな。んー光?魂?異次元?様々な光の集合体が星や天の川、銀河として表現されていたのかなと思う。ジョバンニがアクセスした世界は登場してきた人物や植物と同じ波長で、だからカンパネルラと一緒に旅することができたし、目に写る景色も共有することができた。デリバリーアプリとかゲームに友達招待制度ってあるじゃないですか。それみたいなもんでカンパネルラの意識がジョバンニの意識に招待コードを送ってあげたんじゃないか?あの時目線を逸らして離れて行った時のカンパネルラというよりはその先のカンパネルラの意識が、丘に登った時のジョバンニを招待した。それぞれの孤独が現実でもリンクしてたんだろうな。ファンタジーというよりはスピリチュアル。んー読んだ直後だから全然言葉がまとまらない。

 

 実は自分も夢の中で似たような体験をしたことがある。

 

丁度一年ぐらい前、コロナ禍に加え就活もダメダメで全く自分が生きてる実感が湧かなかった。誰とも接することができず、人間として今存在していることが確かめられなくてまるで幽霊になった気分で過ごしていた。夜住宅街をふらふら散歩している時なんて本当に幽霊の気分だった笑、外からは白い影みたいに見えてたんじゃなかな。

 

そんな精神ヤバな時期にある夢を見た。

 

一回死んだけど宇宙が死んだけど宇宙は無数にあり、パラレルだとや理解できる。ビッグパンおきまくり。来世も俺を選らんわな、(当時寝ぼけながらに書いたメモそのまま)

 

はい解説します。夢がスタートした時点では既に自分は死んだという設定です。そして宇宙空間にいます。本当の宇宙空間ってよりはちゃんと立てていたのでARの世界みたいなもんだと思ってもらいたい。そこで目の前にハットを被った謎の男が立っていた。足元には小さな球体状の宇宙が何個も並んでいた。スイカ大の宇宙ね。それを見た瞬間「あ、パラレルワールドだ」と認識できた。男は「お前は死んだがこの世界は宇宙が無数にある、パラレルワールドだ。そして常にビッグバンが起きている。では次の世界ではどうやって生きる?」的なことを僕に語りかける。それに言葉で答えた訳じゃないけど、夢の中の自分は来世でも自分を選んで生きるんだと決意した。ここで夢は終了。解説になってるのかこれ。

 夢から覚めてからというもの、それまでの自分とは違うような心地がした。一回死んだ?からこそ生きている実感があり、どこからともなく活力が湧いてくるのだ。PUNPEEの曲で「夢のつづき」という曲がある。これはPが急性アル中で救急搬送された後、実はその時点で死んでて今はその夢のつづきを生きているんじゃないかという歌。それに似たような感覚。どうせ死んでんだし、無数にあるパラレルワールドの中の一つを生きているならば今の苦悩なんてどうってことないさと開き直り、夏の就活も乗り切ることができた。ちなみに友達に話したら「え、大丈夫?」と心配された。そう思ってもらって結構、同じ気持ちです。

 

今でも塞ぎ込みそうになるとこの夢を思い出す。別に思い切ったことができるようになった訳じゃないけど、確実にこの夢をきっかけに生きにくいなという感情は減った。脳が軽くなったというか。ジョバンニが銀河の旅とカンパネルラの行動から本当の幸いの為に尽くすことの意味を悟ったように、僕は宇宙で謎の男からこの世界の真理を教わった。ある意味あれは僕にとっての銀河鉄道の夜だったのかもしれない。鉄道には乗ってないから銀河歩道か、いや胡散臭い話を聞かされてるから銀河ルノアールか。

 

今頃あのセミは銀河を飛び回っているのだろうか。